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新しく始めたこと(昆虫採集)

[2015.05.02]

私たちの世代では小学校の頃夏休みの宿題と言えば、

  1. 夏休みの友
  2. 読書感想文
  3. 朝顔の観察日記
  4. 自由研究

などが代表的なものであったと記憶しています。

自由研究と言えば、図画工作、そして昆虫採集ではなかったでしょうか。

男の子は夏休みの旅行の先々で、私の場合は長居公園が近くにあったので網と籠を抱えて通っていました。

今の長居公園の姿からは想像できないかもしれませんが、立派なスタジアムもなく、自然史博物館もなく、ほぼ原っぱ状態でした。
夕方になると蝙蝠が乱舞し、野犬がいたり、暗くなると小捕り(現在の誘拐犯であると思ってください)が出るから早く帰ってきなさいと親から言われたものでした。この頃の作品といえば、単なる「虫取り」なるものでした。

当時も本当の昆虫採集の作品を見て、是非作ってみたいと思っていました。
勿論そのためには様々な道具が必要です。当時は百貨店のおもちゃ売り場の一角にコーナーがありました。解剖セット(メス・はさみ・ピンセット、注射器までついていました)や、何やら怪しげな液体の入った容器(毒ビンに使う殺虫剤では)などを販売していました。

欲しいものはいろいろあったのですが、なかなか全てをそろえることができず、博物館で見たような、きれいな標本は作製できませんでした。

長い間忘れていたのですが、書店で見つけた 「僕らの昆虫採集」 という本をきっかけに色々調べていくと、関連書籍も多く奥が深いもので、虫取りではないんだ、「昆虫採集 イコール フィールドワークである」と気が付きました。

実際にどのような服装か、採集に関しての用具などを以下に示します。

服装

基本は長袖・長ズボン・長靴もしくは足首まで隠れる靴、手袋、帽子(緊急用として エピペン常備)

用具

[写真-1] 補虫網60㎝径  [写真-2] 三角缶・三角紙

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写真-2

写真-1

網の色は目的の蝶の種類により白 緑 赤使い分けする場合もあります。またトンボ用はメッシュタイプで網の目が少し荒いです。

作製

[写真-3] 展翅台  [写真-4] 平均台

写真-4

写真-3

捕獲した蝶はなるべく早いうちに展翅します。また、平均台では、作製した標本の高さを揃えます。

標本

[写真-5] 10年ぐらい前の標本
[写真-6] 2年前の標本

写真-6

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写真-5

 

10年前、始めて間もない頃のアサギマダラは、美しくなく見栄えがしません。2年前の標本は、少しは蝶らしく躍動感が出ていると思っています。

[写真-7] 蝶1頭用の標本箱
[写真-8] 保管・展示用の標本箱

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写真-8

写真-7

1頭用の標本箱は、興味のある方にプレゼントにも使えます。展示用標本箱はドイツ箱と言いますが、宝石箱のような作りでドイツにもないそうです。気密性は抜群です。

備品の購入は以前、大阪にも専門店「蝶研出版(京大蝶類研究会が前身?)」があり便利だったのですが廃業となり、いまではネットで注文もしくは東京出張のおり、直接店に行きます。「むし社」、「志賀昆虫」「ありんくりん(沖縄)」 などがあります。

愛好家の集まりとしては、日本昆虫協会があり、養老猛さん、やくみつるさんなどが会員です。別荘丸ごと昆虫採集のために利用し、電子顕微鏡も準備して論文投稿する方もあります。アマチュア研究家も多いようです。

ジャンルは、蝶・蛾鱗翅目から甲虫類様々です。それぞれの学会もあります。
とても奥の深い世界です。学問的・学術的な一面もありますが、会社勤めをしていた人が退職されてから昆虫採集を始めたところ、フィールドワークなどで歩いたり野山を駆け巡っていると現役時代にはメタボ体型だったのに改善したという話を聞きます。

貴重な昆虫を捕りつくしてしまうのではと大変な誤解を抱いている方々も多いと思いますが、それは間違いです。一番の敵は無計画な開発と自然破壊です。採集のルール・マナーをきちんと守り、これからも昆虫採集が続けられるような自然環境を守っていくことが大切だと思います。

絶滅危惧種という言葉をよく耳にしますが、今では採集をする人が絶滅危惧種になっています。旅先などで見かけても変わった人とは思わないでください。最初の頃は少し恥ずかしいかなと考えたこともありましたが、昆虫の習性が理解でき次第にはまってくると、他人の目はあまり気にならなくなります。

たまに大学の先生ですか?と声をかけられることもあります。

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