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座右の銘 ではありませんが

[2020.12.06]

菜根譚(鞄に入っている本)

菜根譚という書物の存在を知ったのは、心身統一合氣道を創設された藤平光一先生の自伝小説を読んだ時でした。実家は栃木県の大庄屋、地元の名家・名士で関西では、いいとこの坊ちゃんになります。若いころ胸の病で療養していた時、丸暗記するほど読み込んでいた本です。長期にわたる療養生活で気持ちが折れそうになり、後ろ向きの考えになったとき、心の支えとしたそうです。

その後、菜根譚の中の様々な言葉が士官学校時代も役に立ったそうです。藤平光一先生に及ぶべくもありませんが、私自身も50歳頃(天命を知る 知命という年齢です 孔子論語)に大きな出来事があり、その内容に頷き、なるほどと思いながら読んでいました。

そもそも菜根譚は、中国書物の中で処世訓の最高傑作と評されています。明末の洪自誠の著書であり、前集後集合わせて全357条から成っています。有名な言葉に、孔子の論語「吾十有五にして学に志し、三十にして立ち、四十にして云々」があります。

その中で私が気に入っている言葉の一つに、「日既に暮れて、しかもなお煙霞絢爛たり、歳将に暮れんとしてしかもさらに橙橘芳馨たり、故に末路晩年 君子更に宜しく精神百倍すべし」と。

冬至が近づくと日暮れが早くなり寒く冷たい季節になり、なんとなく気分も沈んできますが、夕暮れには家々の竈に火が入り(今ではありませんが)、煙や霞が夕日に映えて美しく、柑橘類は色づき熟し、素晴らしい香りを放っている。寒々しい時期ですが、気持ちの持ちようで気分が変わってきます。自然は厳しい条件にも負けず自らを逞しく主張しています。わが国には四季があり冬の後には必ず春がやってきます。

体調の良くないとき、療養中の時などどうしても気持ちが後ろ向きになってしまいます。心身一如 心が身体を動かすとの言葉もあります。私の入院中、昔できなかったあんなこと、こんなことに挑戦してみようと考えていました。振り返ってみると早いもので、体調の異常を感じ、検査・入院・手術と経験してから10年になろうとしています。当時は東日本大震災の報道を病室のTV見ていました。周りの人々に支えられ、協力してもらい、お陰様で今日までやってこれました。

不安が完全に払しょくされたわけではありませんが、少なからずまだ私が必要とされているのかなと(決して思い上がりではありません)仕事ができることに喜びを感じています。

コロナの波もいまだ収まる気配もなく、自然の大きな力には抗うことは中々難しいように思えます。しかし今まで数々の感染症を克服してきたように、人類の英知をもってすれば明るい光が見えてくるのではないでしょうか。これは我々ホモサピエンスの驕りではありません。来年は丑年です。歩みは遅くとも確実に前進していきましょう。

来る年が皆様にとって良い年でありますよう。

川﨑 薫 

令和2年12月吉日

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